キラは知らない。
あの日、彼奴の言葉が俺にとってどれだけ嬉しいものだったか。
それまで俺が出会った奴らは皆、『ザラ』の名を通してしか俺を見ようとしないか、同様の立場にある者達ばかりだったから。
もしかしたらただ鈍いだけかもしれないが、何の気負いもなく、当たり前のように俺をただの『アスラン』として接してくれるあいつの存在が、どれだけ俺の中に焼き付いたか…。
今までこんなにも深く俺の心に入り込んだ奴なんていなかった。
まして、不快に思うどころか『手放せない』と感じるほどに執着する相手なんて、一生出会えっこないと思っていた。
そんな俺の価値観を根底から覆したのは御前なんだから、ちゃんと責任は取ってもらわないとね。
だからキラ、覚悟してね?
俺は、どんな手を使っても御前を手に入れるから…。
麗らかな春。
国内屈指の名門校と名高いザフト学園でも、正門から続く大通りでは桜舞う絢爛の時季を迎えていた。
新学期となるこの日、高等部では一人の専任講師を招いたのだが…その就任自体が異例尽くしで、事前に情報を得る事が出来た者達は、皆一様に件の人物に興味を示していた。もっとも、当の本人は、そんなことを知る由もなかったが。
「なんか…早く来過ぎちゃったかなぁ?」
はらはらと舞い散る桜をぼんやりと見上げながら、他に人気のない通りに立ち尽くした人物は呟いた。言葉にやや覇気が無いように感じられるのは、すっかり桜に魅せられているせいだろうか。
携帯のメール保存枠いっぱいで新規作成出来なくなったので、書き掛けネタをアプしてみる。<ちなみに年の差アスキラネタなのです(笑)
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