「あれ?こんなもの収めるときに在ったか?」
薄暗い宝物庫の中、手元の灯りだけを便りにハンディコンピューターにデータを打ち込んでいたアスランは、何となく気を引かれるものを感じてふと視線を向けた先に、見慣れない箱があることに気付いた。
それはまるで高貴な出持の者の亡骸を収める棺のようにも見えて、一際異質な存在感を放っていた。
近くに寄ってみると、箱には何やら緻密な紋様と思しき彫刻が全面に施されているのが見て取れた。見覚えがあるようで無いようなそれにアスランは暫し記憶を探ってみるものの、該当するものは思い当たらず、一先ず考えるより確認作業続行を優先させることにした。
上面を見るとどうやら蓋にあたる部分らしく、そこに刻まれた紋様はアスランにもすぐに思い当たるものがあった。
要所要所に宝珠が組み込まれたこの様式は、以前立ちよった遺跡の入口に刻まれていたものと酷似している。
当時物珍しさと自力で開けなかった悔しさから色々と調べまくった事もあって、ある程度の古代言語なら読み解けるようになっていた今のアスランにこれを開封することは容易いが、さすがに御頭達に断りもなく勝手なことをするのは気が引ける。
暫し瞬巡した末、とりあえずまずは任せられた仕事を片付けてから御頭に許可を貰う事にしたアスランは、いつもより幾分手早く作業を続けていった。
とりあえずここまで〜。
…って、キラ出てきてないし!!
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