プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルによるロゴス掃討決意表明が全世界に向けて発表された。
その際、公表されたロゴスメンバーの中にカガリが信を置くセイラン家ゆかりの者が含まれていたことで、オーブ国内にも『オーブの獅子の娘』であるカガリ・ユラ・アスハ代表首長というカリスマが必要とされる事態となり、アークエンジェルに身を寄せていたカガリとオーブ軍の面々は、秘密裏に迎えにきたオーブの船で帰国の徒につくことになった。
「オマエ達は私達が無事ザフトの圏内から抜け出せるまで、せいぜい奴らを引き付けてくれよな。今まで行き場の無いオマエらの面倒を見てやったんだ、それ位当然だろ?」
アークエンジェルクルーを前に、見下す態度を隠そうともせず傲慢に言い放ったカガリは、更に手にしている小さな箱を見せ付ける様に弄ぶ。自身の絶対有利を確信している愉悦に歪んだ笑みを浮かべて、殊更なぶる様に言葉を重ねる姿は醜い喜悦に彩られていた。
「まぁ、コレが私の手にある以上、そんな真似出来ないとは思うが…ザフトに助けてもらおうなんて馬鹿な考えは起さない事だ」
それはカガリがフリーダム修復の際、アスハの息の掛かったモルゲンレーテの技術者に命じて取り付けさせた外部誘導式の爆弾の起爆装置であり、取り外そうとしようものなら、即座に爆発するように仕掛けられていた。
キラに対してはAAクルーやマルキオ導師達を、AAクルーやラクス達にはキラの命を盾に好き放題やってきたカガリは、苦渋に歪む一同の表情を満足気に見やると、途中で合流を果たしていた元タケミカヅチのクルーを連れて、オーブ艦に向かった。
「…アンタらも大変だろうが、3人を頼む」
「分かりました。…貴方も気を付けて」
オーブ軍の者達には聞こえない程小さな声でそう呟いたロアノーク大佐は、すれ違い様、彼にだけ聞こえる小声の返答に小さく微笑むと、怪我人である彼を手助けするという名目で残っていた数名のオーブ軍の者と共に、AAを後にした。
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