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日常雑記中心でたまに私用ネタメモとかSSSとか。
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「…会いに行かれるんですね?」
「ああ。何か伝言があれば聞くぞ?」
「では『あまり無茶はしないでください』と。彼らはアレに乗っているのが『あの人』だとは知らないのでしょう?」
 素っ気ない態度を取りつつも、目の前の『弟』もまた『兄弟』を案じているのだと知れた。

「そういえば、プラントでディアッカに会ったぞ」
「あ、そう」
「…なんだ、あいつはまた何かやったのか」
「もう、ちょっと聞いてよ!あの馬鹿ったら…」
 確信を持って呟けば、すかさず言葉尻に乗ってきた盟友に、如何にフラストレーションを溜め込んでいたかが窺い知れた。

「だったらまず、同盟をどうにかしろ。戦場に出てからでは遅いんだ!」
 あれだけ現実を突き付けられたにもかかわらず、尚も夢想しつづけるだけの愚かさには、ほとほと嫌気がさす。

「連合の廃棄した施設の調査?んな事してなんか意味あんのかよ…」
 せっかく基地に着いて少しはゆっくり出来るかと思ったのに、まったくついてない。

「…ロドニアの、ラボ?ダメ、そこは…」
 大好きなひとたちが、あたしたちを迎えにきてくれた、大切な場所なのに。

「何なんだよ、コレは…」
 茫然と呟かれたまだ何も知らない同胞の言葉に、以前此処を訪れた時の惨劇を思い出した。

「ステラ!?なんで…どうしてあの子が…」
 信じたくなかった。あんなにも『死』を恐れた彼女が連合の兵士…それもガイアのパイロットだなんて。

「…シンがあの人の所に連れていってくれるから。だから、もう少し我慢してくれ…。そしたらキラ達とも、すぐに会えるよ」
 未だ後遺症に苦しむ『妹』を目の当たりにすると、初めて出会った頃を思い出して居たたまれない気分になる。

「約束しろ!ステラを、戦争なんか関係ない、優しい場所に帰すって!!」
「…約束するよ」
 今の世界にそんな場所など在りはしないから、そんな現状を変えるために動いている彼らは『弟妹』達を戦場に置いておくしかないのだと知っているだけに、未だ世界を知らない少年の言葉は痛かった。

「私は宇宙に上がりますわ。あれらの完成も近いはずですし、今後の予定も色々と変更が必要でしょう?」
 我が子のように可愛い『弟妹』達に会えないままなのは残念ですけど、愛しい子供達との未来の為ですから、今は我慢しなくては。

「…それで、私に白羽の矢が立ったわけね。わかった、すぐに行くわ」
 『あの人』にオペレーターが勤まると思えないし、当然よね。

「また、戦わないとダメなの…?」
「あと少しだよ。じきに『姉さん』がお前らを迎えにきてくれるから。そしたらAAに行くといい」
 暗に『兄弟』のもとに帰れると教えてやると、子供達の愁眉が解けた。

「ステラ!脱出してっ!!」
「…キラ?」
 ずっと、恐いと思っていたものから聞こえた声は、大好きなひとのものだったから…あのひとは、ステラたちを守るって言ってくれたから、もう、迷うことなんてなかった。

「アレを討たせるんですか!?」
「そうだ。『ザフトの英雄』を名乗らせるには、それ位の戦暦が必要だろう。それに、言いだしたのはあいつだ」
 言葉尻に不本意さを滲ませて眉間の皺を深めた『兄』の様子から、彼女の『お願い』に負けたのだと知れた。

「仇はとりましたよ、貴方の分もね」
 これでもう、この人もオレの存在を無視できないだろうと思ったのに…寄越されたのは冷たい一瞥と、思いがけない言葉だった。

「それでは、君も『姫君達』の下へ戻るのだね?」
 確認のためにそう問えば、対の少女を想っているのか、いつもは厳しい表情を崩さない彼の纏う空気は格段に優しくなった。

「ついでといっては何ですが、メイリンを連れて行かれませんか?彼女なら、『歌姫の艦』でも上手くやっていけるでしょう」
 本人はまだ気付いていないようだが、『弟』にしては珍しく、今現在の『仲間』を高く評価しているようだった。

「済まないな、本当はもう少し穏便に行くつもりだったんだが…」
 最新鋭機2機の追撃を受けながら、うっすらと笑みさえ浮かべる彼から感じたのは、この状況を楽しんでいる気配で。生きるか死ぬかの瀬戸際で、何故こんなにも余裕を浮かべていられるのか、訳が分からなかった。

「…もしかして、ギリギリセーフ?」
 誘爆するグフから海中に逃れたところを絶妙のタイミングで受けとめた相手は、何ともお気楽な口調で呟いてくれた。
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